11月18日及び19日は研修のため事務所を休業します。
世の中にハラスメントという言葉が浸透し、最近ではどこにいってもハラスメントが話題になります。企業が設置している内部通報の窓口にも、ハラスメントに関する通報が多く寄せられています。最近では、セクハラ、パワハラ、モラハラ、カスハラ、スメハラ、・・○○ハラという言葉がどんどん生まれているようです。
ハラスメントは、職場や家庭等で、他の人に対して嫌がらせや不快な言動をすることを指しますが、程度を越えれば違法行為となり、行為者(加害者)は民事上の損害賠償請求(不法行為に基づく損害賠償請求)等を受ける可能性があります。
一方、会社においても、これらのハラスメントを放置したことにより、責任を負うことがあります。2019年の第198回通常国会において「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、これにより「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。併せて、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法においても、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに係る規定が一部改正され、今までの職場でのハラスメント防止対策の措置に加えて、相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止や国、事業主及び労働者の責務が明確化されるなど、防止対策の強化が図られ、2020年6月1日から施行されています。また、パワーハラスメントの雇用管理上の措置義務について、中小事業主においても2022年4月1日から義務化されました。
よって、ハラスメント(特に、セクハラ、パワハラ、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント)は加害者だけの問題ではなく、職場としても必要な対策が求められており、これを怠った場合は、企業としても責任を負う場合があります。
何がハラスメントに該当するかは、社会情勢に伴い変化します。常に社会の動きに注意し、自分自身の感覚が社会の認識とズレていないかを確認していく必要があります。
弁護士 清水綾子
酷暑の毎日が続いており、一歩外に出れば熱風が吹き付けて息苦しいほどで、名古屋では猛暑日が25日間も連続したようです。
さて、先日、この猛暑のなか、業務のための新しい銀行口座を開設するべく銀行へ出かけてきました。しかし窓口は大混雑、案内係の方にスマホを使えば窓口に行かずとも口座を開設できると勧められ、何もできないまま汗だけかき、すごすご事務所に戻って、アプリで口座開設、なるものに挑戦することになってしまいました。窓口での手続きは不要でも本人確認は必要ということで、スマホのカメラを使って本人確認をせよというアプリの指示に従って、あらゆる角度から自分の免許証を撮影したり、事務所のデスクで散々自撮りを繰り返すヘンな人になりながら悪戦苦闘し、やっと申請完了、案内係の方が勧めるのであるから、問題なく口座開設ができるものと思っていたら、しばらくして「本人確認ができませんでした」というメールが来るではありませんか!
本人確認ができない理由が分からず、もう一度事務所の中で自撮りをして再挑戦するも、撮影の技術が悪いのか、もしや私の顔が悪いのか、またしても「本人確認ができませんでした」。住所氏名、電話番号、顔写真入りの身分証に加えて自撮りまでしたのに、確認できないと言われては、もはや打つ手なしです。
自分が自分であることの証明とは存外に難しいものであると実感した次第です。
弁護士 中井志帆
当事務所では、8月14日(水)、8月15日(木)を夏期休暇とさせていただきます。
8月16日(金)より業務を開始いたします。
事務所報2024年夏号はこちらからご覧ください。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス新法)が、令和6年秋(11月12日)までに施行されます。
本法律は、働き方の多様化が進展し、フリーランスという働き方が普及している一方で、実態調査やフリーランス・トラブル110番などにおいて、フリーランスの方々が取引先との関係で様々な問題・トラブルに遭遇している事実が明らかになったこと等から新たに制定されたものです。
この法律は、個人や、一人会社で業務委託を受ける事業者たるフリーランスを「特定受託事業者」と位置づけた上で、この特定受託事業者に業務委託をする委託者に対して、種々の義務を課すものです。一般的にフリーランスと呼ばれる方には従業員を使用している方も含まれますが、上記のとおり本法律における保護の対象には含まれないこと、反対に、一般的に法人をフリーランスと呼ぶことはありませんが、一人会社(代表者以外に他の役員がおらず、かつ従業員もいない会社)も本法律における保護の対象に含まれることに注意が必要です。
本法律による委託者の義務項目としては、大きく分けて次の7つとなります。
① 書面等による取引条件の明示
② 報酬支払期日の設定・期日内の支払(発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内の報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払うこと)
③ 禁止事項(フリーランスに対し、継続的業務委託をした場合に、法律に定められた禁止行為をしてはならないこと)
④ 募集情報の的確表示
⑤ 育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ ハラスメント対策に係る体制整備
⑦ 中途解除等の事前予告・理由開示
昨今、労働法分野についての法改正はめまぐるしいものがあります。時々に応じた適切なリーガルサービスが提供できるよう、引き続き法改正や判例の動向に注視して参ります。
弁護士 築山健一
令和4年6月10日の日弁連定期総会で「弁護士情報セキュリティ規程」が成立し、本年6月1日より施行されることになりました。同規程では、施行日までに、弁護士はその職務において取り扱う情報の「情報セキュリティを確保するための基本的な取扱方法」を定める必要があるとされています(同規程3条2項)。
背景には、民事裁判手続及び刑事裁判手続のIT化の動きがあります。特に、令和4年5月18日の民事訴訟法改正により、将来的に弁護士は訴状などの書面を紙ではなくオンラインで提出しなければならなくなること等から、民事訴訟法改正案についての国会審議でも、デジタル化に向けて弁護士のウイルス対策やIT化の訓練についての質疑がなされるなど、対応について議論がされていました。
弁護士は、一人で法律事務所を経営している場合もあれば、複数人の弁護士が一つの法律事務所に所属している場合もあります。複数人の弁護士が所属する法律事務所では、事務所単位で「基本的な取扱方法」を定め、所属する弁護士及び事務職員等がそれを遵守することになります。
「基本的な取扱方法」として定める事項は弁護士(事務所)ごとの実情に応じて異なりますが、定めるべき事項としては、セキュリティ維持のための安全管理措置(教育訓練、執務スペースの施錠、IDやパスワードによるアクセス制御等)、使用する情報管理ソフトウェアの種類、情報の保管・破棄の方法など多岐に渡ります。
昨今では、企業においてサイバー攻撃や人為的ミスによる情報漏洩やシステム障害が発生したというニュースをときどき耳にしますが、そのようなリスクは法律事務所においても同様です。とりわけ弁護士業務では、多くの個人情報を取り扱うため一層の注意が必要です。当事務所においても、適切な「基本的な取扱方法」を定めて遵守し、情報セキュリティの確保を心掛けていきます。
弁護士 立松稜惟
この度、石原総合法律事務所に入所しました石原宏一(ひろかず)と申します。
私は、名古屋出身で、司法修習で1年間大阪に行き、その後地元へ戻ってくる予定だったのですが、修習が楽しかったことからそのまま大阪の事務所へ就職し、4年間弁護士をしておりました。
私が弁護士になってからまだ4年あまりですが、その間にもコロナ禍や震災など、様々なことが起こっております。
日々移り変わる社会のなかで、弁護士として少しでも皆様のお役に立つことができれば幸いです。
まだまだ未熟者ではありますが、精一杯業務に励んでまいりますので、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
弁護士 石原宏一
この度当事務所に、石原宏一弁護士(第72期)を迎えることになりました。同弁護士は、令和1年12月に司法修習終了後、大阪において弁護士として勤務してきましたが、故郷名古屋にUターンすることになり、当事務所に入所するに至りました。同弁護士は、責任感の強い誠実な人柄でありますから、皆様のご期待に添うことができるものと思っております。
当事務所は、これを機に業務体制の更なる充実を図り、適確かつ迅速なリーガルサービスの提供に努めてまいりますので、今後とも一層のご交誼を賜りますようにお願い申し上げます。
所長弁護士 石原真二
【宏一弁護士挨拶】
司法修習後、大阪の法律事務所で勤務しておりましたが、このたび同事務所からお許しをいただき、石原総合法律事務所に入所することとなりました。
もとより未熟者ではございますが、前事務所での経験を最大限に活かしつつ、皆様にとって最良の結果を導くことができるよう、精一杯業務に励んでいく所存です。
何卒、皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
弁護士 石原宏一
ご存じの方も多いかもしれませんが、雇用主(使用者)が労働者と労働契約を締結するとき(有期労働契約を更新するときも含みます)には、雇用主は労働者に対して、労働条件を明示しなければなりません(労働基準法第15条)。そのルールが、2024年4月1日(以下、「施行日」といいます。)から一部変更されます。
具体的には、「労働基準法施行規則」と「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の変更により、施行日から、労働条件の明示事項等として次の①から③が追加されます。①は全ての労働者が対象です。②と③は契約期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の労働者(以下、「有期契約労働者」といいます。)が対象です。
① 就業場所・業務の変更の範囲の明示義務
これは全ての労働者が対象となります。書面による明示(労働者の希望によりメール等でも可能。以下同じ。)が必要です。これまでは、雇入れあるいは契約更新の直後の就業場所と従事する業務だけ明示すればよかったのですが、施行日以後は、その労働契約の期間中における就業場所・業務の「変更の範囲」も明示することが必要になります。
例えば、就業場所について、雇入れ直後は名古屋支店で勤務してしてもらうが、将来的には地域等の限定なく就業場所が変更される可能性があるような場合は、労働条件通知書には、「就業場所」として、「雇入れ直後」は「名古屋支店」、「変更の範囲」は「本店並びに全ての支店及び営業所」といった記載をすることが考えられます。また、従事する業務について、雇入れ直後は広告営業を行ってもらうが、将来的には限定なく業務が変更される可能性があるような場合は、労働条件通知書には、「従事すべき業務」として、「雇入れ直後」は「広告営業」、「変更の範囲」は「会社内での全ての業務」といった記載をすることが考えられます。
② 更新上限に関する明示義務と更新上限を新設・短縮する場合の説明義務
これは有期契約労働者(パート・アルバイト、契約社員、派遣社員、定年後に再雇用された労働者など)が対象となります。
雇用主によっては、有期契約労働者について、契約更新の上限を設けている場合もあると思います。そのような場合、施行日以後は、雇入れの時及び契約更新の都度、労働者に対して更新の上限を書面により明示する必要があります。例えば、労働条件通知書に、「更新の上限」は「有り」として、「契約期間は通算4年を上限とする」とか、「契約の更新回数は3回まで」といった記載をすることが考えられます。
また、雇用主が、労働者と有期労働契約を締結した後に、契約更新の上限を新設または短縮しようとする場合は、あらかじめ労働者に対して、その理由を説明することが必要になります。
③ 無期転換に関する事項の明示義務等
以下については無期転換申込権が発生する有期契約労働者(パート・アルバイト、契約社員など)が対象となります。なお、定年後に再雇用された労働者等については、一定の要件を満たす場合は無期転換申込権が発生しないので、そういった無期転換申込権の発生しない労働者は対象外です。
(1) 無期転換申込機会の明示義務
有期契約労働者は、原則として、同一の雇用主との間で、有期労働契約が5年を超えて更新されたときは、契約期間の定めのない労働契約(無期労働契約)への転換を申し入れることができ、その申入れがあったときは無期労働契約が成立する(雇用主は無期転換を断れない)こととなっています。この労働者の権利のことを無期転換申込権といいます。
雇用主は、施行日以後は、無期転換申込権が発生する有期契約労働者に対し、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、該当する有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)を書面により明示することが必要になります。
(2) 無期転換後の労働条件の明示義務と均衡を考慮した事項の説明の努力義務
雇用主は、施行日以後は、無期転換申込権が発生する有期契約労働者に対し、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件を書面により明示することが必要になります。明示する労働条件は、労働契約締結の際の明示事項と同じものです。
また、雇用主は、施行日以後は、無期転換申込権が発生する有期契約労働者に対し、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件に関する定めをするに当たって、労働契約法第3条第2項の趣旨を踏まえ、就業の実態に応じ、他の通常の労働者(正社員等のいわゆる正規型の労働者及び無期雇用フルタイム労働者)との均衡を考慮した事項(例:業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)について説明するよう努めなければならないこととされています。
ルール変更の概要は以上です。
事業者の方は、上記のルール変更に伴って、現在使用されている労働条件通知書等の書式を変更される必要があるかと思いますのでお気を付け下さい。
弁護士 鈴木隆臣
本年もよろしくお願い申し上げます。
事務所報はこちらからご覧ください。